懸魚(げぎょ)?
【歴史】
中国から仏教建築とともに伝来してきたとも、その後になってからともいわれ、定かではありません。
日本では鎌倉時代以前のものは無いといわれ、あまり詳しい事はわかっていないのが実情です。
「懸魚(けぎょ)」は「掛魚」とも書かれ、「けんぎょ」と呼ばれる事もあり、魚を吊るしたような形に似ていた事からこの名がつきました。
建物の一番の敵は火災ですが、名前に「魚」がつくことから「防火」を願って昔からつけられていました。
「火伏(ひぶせ)」のまじないとして、よく民家や蔵などに「水」の文字が書かれていたり、寺社だったら龍の彫刻、お城だったら鯱(しゃちほこ)があったりしますが、これと同じ意味があったようです。
【建築構造上の役目】
建築構造上まったく意味がなかったのかというと、そんな事はありません。
入母屋造や切妻造、破風などは直接雨風に建物本体がさらされてしまいます。
そうすると棟木や屋根や建物を支える重要な木材が腐る。これを避けるため、また保護のために「懸魚」は取り付けられました。
木の切り口から傷んできますので、装飾を兼ねて懸魚は重宝されていたようです。
【懸魚の種類】
昔は魚の形をしていたり、のっぺりとしたただの板だったりしましたが、地代を経るごとに華麗に進化し、取り付ける場所も多種多様化してきます。
※古い建物を見た際、正面だけではなく側面に廻り屋根の方を見てください。色々な形がある事に気付き面白いです!